過敏性腸症候群

過敏性腸症候群

かつては過敏性大腸症候群と呼ばれ、大腸の機能異常に基づく便秘や下痢を主体に疾患が把握されていましたが、1960年頃より大腸のみならず、胃や十二指腸などの上部消化器官を含めた消化管全体の機能異常に基づく疾患として考えられるようになりました。
過敏性腸症候群(IBS:Iritable Bowel Syndrome)の主な症状は、下痢、便秘、腹痛、腹部膨満感、放屁、悪心、嘔吐などで、広汎な臨床症状を有する症候群であります。
そして大事なことは、このIBSはストレスにより誘発される、腸管の運動異常に基づく症候群であるということです。
例えば、朝、学校へ行こうとすると腹痛や下痢が始まり、帰宅する頃にはケロッと治ってしまったり、試験や重要な会議の前になると様々な消化管症状が出たりすることです。
それが中には休日でも一日中症状が出たりし、慢性化しIBSとなっていくことがあります。
自律神経が腸管全体に密接に関連しており、ストレスが腸管の運動異常をひき起こし、されに便通異常や症状の発生が患者さんの不安感を増大させ、ストレスをますます強めてしまうという、悪循環を形成することで慢性化すると考えられています。
IBSは近年急増しており、世界的には全人口の10〜20%前後はIBSを持つと推測され、女性にやや多く、35歳前に症状が出現するとの報告があります。
治療としてはまず器質的疾患(炎症、潰瘍、ポリープ、癌、寄生虫等)を否定し、診断を確定することから始まります。
IBSと診断がついたらストレスの分析と対応を考え生活指導を行い、食事療法や薬物療法を行っていきます。
食事は一日三度、規則正しく摂ることを基本とし、下痢型の患者さんに乳製品、アルコール(特にビール)、香辛料(特にガーリック)等の制限を伝え、便秘型の患者さんには食物繊維を多く摂り、便通をよくするよう伝えます。
薬物療法としては、ストレスを軽減すべく抗不安剤と腸管運動調律剤を併用したりします。症状が強く長引くからといって、下痢止めや下剤の乱用は好ましくありません。
最近ではポリカルボフィルカルシウム(コロネル)という下痢型、便秘型の両方の症状に効果のあるIBS専用薬も承認され注目されています。